「総則6項」
2022/04/28
埼玉県川越市の初山公認会計士税理士事務所のスタッフブログです。
相続したタワーマンションを「路線価方式」で財産評価し、相続税申告したところ、国税当局がこの評価は実勢価格と大幅に乖離しており、著しく不適当であるとして「総則6項」に基づき更正処分を行いました。これを不服とする納税者が訴訟を起こした「タワマン裁判」。1審・2審を経て、令和4年4月19日に最高裁で国税側の勝訴が確定となりました。
この裁判で争われていたのは、原告が相続で取得した高層マンションの相続税評価額の正当性。被相続人は2棟のマンションを計約14億円で購入しましたが、高層階の実勢価格が反映されない路線価による2棟の評価額は約3億円でした。相続人が路線価に従い申告したところ、当局が「路線価による評価は適当でない」として否認し、不動産鑑定による実勢価格を調査(約13億円)。約3億円を追徴課税した事例です。
国税当局としては基本的に財産評価基本通達を適用するという原則論自体を否定しているわけではないものの、本件においては行き過ぎた節税行為がみられたため、財産評価基本通達6項(総則6項)が適用されました。
総則6項においては、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の評価は、国税局長の指示を受けて評価する。」と記載されています。この総則6項は「伝家の宝刀」と言われ、むやみやたらに適用されることはありません。
今回適用されたのは以下の4つがポイントになっていたと考えられます。
① 相続直前の対策:被相続人が不動産を取得したのが相続開始直前での取得。
② 銀行からの融資目的:タワマン購入に当たって金融機関からの借入が「節税目的」であったこと。
③ 取得価格との乖離:取得価格や不動産鑑定額と路線価評価に約4倍の乖離。
④ 短期の不動産売却:相続開始の9カ月後に1棟を売却。
今回の判決を受けて、行き過ぎた節税には注意が必要です。
節税対策は相続開始までの期間が長いうちから行い、金融機関でローンを組んで資産を購入する際には節税以外の合理的な理由と借入目的が伴っていること。物件によっては路線価で評価する前に不動産鑑定を行うなどして実勢価格との差額を考慮する必要があるかもしれません。
相続・贈与でお悩みの方は是非初山公認会計士税理士事務所へご相談ください。
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