初山公認会計士税理士事務所
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中小企業倒産防止共済を利用しての節税

中小企業倒産防止共済を利用しての節税

2019/10/20

埼玉県川越市の公認会計士・税理士の初山です。

本日は、倒産防止共済についてご説明いたします。
(一般的には経営セーフティ共済と呼びます)

当該共済は、主目的は一応保険です。
保険の内容は、得意先が倒産した場合、売上債権が回収できないことによる
連鎖倒産を防ぐ、という目的があり、掛金の10倍まで無担保・無利息で融資を
受けることができます(売掛債権の貸倒額が上限)。

とされておりますが、上記融資を受けた場合、いままで支払った掛金は返ってこないため、
実質的に掛金部分が利息という考え方になります。
正直、結構な利息だなぁ、と思いますが、それでも融資を受けることで
倒産を逃れられるなら有効な手段だと思います。

上記の通り主目的は保険ですが、ほとんどの事業者は節税目的で税理士等から
勧められて加入していることと思います。

当該共済の会計・税務的な特徴は、後に説明するように要件を満たせば全額解約返戻金として返ってくるのに、
全額損金(必要経費)として認められているという点です。
わかりやすく言い換えると、貯金しているのに経費になっているという感覚ですね。

当該共済の掛金は、12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヵ月以上納めていれば、
掛金全額が戻ります。
12ヵ月未満で解約すると全額戻ってこないので12ヶ月以上は続ける必要がありますが、
基本的には40ヶ月継続しないと節税効果を含めても損をします。

倒産防止共済について、短期的な節税効果を求めて使用することは結果的に損をすることがあります。
注意点は以下の通りです。
①掛金を大きくしないと節税インパクトがない
②途中で自由に掛金を減らすことができない
③掛金の積立ては、累積で800万円まで
④経営が安定している場合、解約のタイミングがない(退職金に充てる目的なら有効)

①②はセットで考えます。
期末月に、利益が出すぎているから倒産防止共済を始めるとします。
大体の場合、当期の利益を圧縮する目的で、12ヶ月分を前納します。
当月の1月分と、来期に帰属する11か月分の全てを当期の損金にすることができます。

そこで、掛金を月1万円とした場合、12万円が損金になるため、実効税率を33%として計算すると
約4万円の法人税が減額されます。
と、ほとんど節税インパクトがないため、月20万円(MAX)を12か月分前納した場合、約80万円の法人税が減額され、
これはなかなかの節税インパクトかなと思われます。

しかし、これを実行した次の期に、業績が悪くなってしまい毎月の掛金20万円が重くなったと想定します。
じゃあ月5千円に下げようと思っても、条件を満たさない場合、下げることは認められません。
短期的な節税のために安易に掛金を大きくすることはリスクがあります。

③について、たとえ月20万円が経営的に問題ないとしても、800万円までしか積立てられないため、
40ヶ月で保険料支払いは終了となります。
3期間と少しで終わってしまうわけですね。

④について、業績がずっと安定しており、積立も800万円までしてしまった場合、
解約のタイミングに困ることになります。
掛金が全額損金になるため、解約返戻金は当然全額益金になります。
利益が多くなると税率も上がるため、解約のタイミングを考えないと、
結果的に多く税金を払うことになる可能性の方が高いのです。
中小企業で、毎期経常的に800万円を超える税前利益が出ているような会社で、
たまたま当期業績が悪い、などのタイミングで解約できれば結果税金は下がることになります。

また、もともと退職まで置いておいて退職金に充てる目的であれば、結果的に節税になります。
この場合、掛金が退職時まで塩漬けになってしまうと思われがちですが、
取引先の倒産以外にも臨時に事業資金を必要とする事態が生じた場合に、
解約手当金の範囲内で貸付を受けることもできます(一時貸付金)。

倒産防止共済は、解約するタイミングをちゃんと見据えて意思決定することが重要です。

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