【社長は知らなきゃ損】税抜経理と税込経理、有利なのはどっち?
2025/09/25
【社長は知らなきゃ損】税抜経理と税込経理、有利なのはどっち?
日々の取引で発生する消費税。その経理処理には「税抜経理」と「税込経理」の2つの方式があることは、多くの社長がご存知かと思います。
「どちらを選んでも、最終的に納める消費税額は同じ」というのは事実です。しかし、実はこの選択が、法人税額の計算に影響を与えるケースがあることはご存知でしょうか。今回は、その具体的な影響と、どちらの方式が有利なのかを解説します。
1. 税抜経理と税込経理の基本
まず、簡単におさらいです。
税抜経理方式
売上や経費を「本体価格」と「消費税」に分けて記帳する方法です。損益計算書には本体価格のみが反映され、消費税の差額は別途計算します。
税込経理方式
消費税を含んだ「総額」で記帳するシンプルな方法です。ただし、損益計算書に表示される利益も消費税込みの金額になるため、期中の正確な損益が把握しにくいという側面があります。
2. 法人税に影響が出る2つの重要ポイント
どちらの方式を選ぶかによって、特に以下の2つの場面で有利・不利が分かれる可能性があります。
【資産購入時】少額減価償却資産の特例が使えるか?
これが最も影響の大きいポイントです。中小企業者等には、取得価額30万円未満の資産を一度に経費(損金)にできる「少額減価償却資産の特例」があります。この取得価額の判定が、経理方式によって変わります。
(例)28万円(税抜)のパソコンを購入した場合
- 税抜経理の場合
取得価額は28万円で判定します。
→ 30万円未満のため、特例を適用でき、全額をその期の損金にできます。 - 税込経理の場合
取得価額は消費税10%込みの30.8万円で判定します。
→ 30万円以上となるため、特例は使えず、耐用年数に応じた減価償却が必要になります。
このように、税抜経理のほうが特例を使える範囲が広がり、短期的な節税効果が高くなります。
【接待時】交際費の損金算入の判定は?
接待飲食費に関する損金算入のルールでも、同様の現象が起きます。
資本金1億円以下等の法人では、交際費等のうち飲食費について、1人あたり1万円以下のものは全額損金にできます。この1万円の判定も、経理方式が影響します。
(例)1人あたり9,500円(税抜)の飲食をした場合
- 税抜経理の場合
9,500円で判定します。
→ 1万円以下のため、交際費から除外され、全額を会議費などとして損金算入できます。 - 税込経理の場合
税込の10,450円で判定します。
→ 1万円を超えるため、この特例は使えず、原則として交際費(※)となり、全額損金とはなりません。
※定額控除限度額(年間800万円)や50%損金算入の特例の対象にはなります。
3. 結論:原則として「税抜経理」が有利
ここまで見てきたように、課税事業者である中小企業にとっては、各種特例の適用範囲が広がる「税抜経理方式」を選択するほうが、法人税の計算上有利になる場面が多いと言えます。
ただし、例外もあります。消費税の納税義務がない免税事業者の場合は、消費税を分けて管理する必要がないため、事務負担の軽い「税込経理方式」のほうが合理的です。
自社が課税事業者なのか免税事業者なのか、そしてどのような取引が多いのかを考慮し、最適な経理方式を選択してください。
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